そしてその予感が、外れることはなかった。
 すんなりとまではいかなかったけど、クリスは私を受け入れてくれた。ありのままの
私を。正確に言えば、その時の私は、もうアリエッタではなかった。クリスから素敵な
名前をもらって、私の存在はこの世界に受け入れられた。
 フォーニ。飛べない妖精。その物語の結末は、私にとっては決してハッピーエンドで
はないだろう。
 でも、クリスが幸せでいてくれるなら、それでいい。

 そして私達は、初めてのアンサンブルをした。まるで、クリスのフォルテールの音が
私の中に溶けていくような錯覚さえ覚えた。そして私の声も。
 今までは、自分がどんな音を出しているのかもよくわかっていなかったんだろう。二
つの音が溶けて混じり合うのを、私は身体で感じた。比喩でもなんでもなく、文字通り、
身体全体で。
 それは、素晴らしい感覚だった。
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